ポップコーンを食べたら前歯が欠けた話
去る金曜日のことである。
私は非常にご機嫌であった。
体調こそ悪かったものの、一週間を乗り切り、楽しみにしていた金曜ろーどしょーを前に、コンビニで調達した弁当と味噌汁に舌鼓を打ち、それはもうご機嫌であった。
食後のデザートに冷凍庫に入れてキンキンに冷やしておいたコカコーラの500ミリ缶をプシューと開け、ポップコーンの袋を開ける。
始まった映画は、何年ぶりに見たか思い出せないが非常に面白い。
最高であった。
この時までは。
映画も中盤の盛り上がりを見せた頃、ポップコーンをかじる口の中に不思議なジャリッと感を感じる。
まあ、ポップコーンの皮のところが固いのだろう、そう思って気にも留めない。
袋の中身を半分くらい食べ切ったところでポップコーンに飽き、袋の口を閉じて、口の中の油分をコーラで流す。
至福である。
満足げに口の中を舌で舐め渡す。
奥歯、挟まったポップコーンの皮が若干歯茎に刺さって痛い。舌で舐め続けたら外れた。
下の前歯、特に問題なし。
上の前歯。....上の前歯?何やら違和感があるぞ?
慌てて100均で買った安い手鏡で確認してみる。なんということか、ちょっとかけてるではあるまいか。
鏡でよく見ないと分からないような些細な欠けであるが、口の中はパニックである。
舌先にざらりと引っ掛かりがあるのだ。悲しい。
何が嬉しくてポップコーンで前歯がかけるというのだ。
なんて弱弱な歯なんだ。
やむなし、歯医者の予約を入れた。
歯医者さん、優しい人だといいなあ。