大きな段ボール箱の話

段ボール箱というのはとても素敵なものです。

 

大学生になって一人暮らしをするようになり、通販なんかでちょっと体積が大きめのものを買ったりすると、大きな段ボール箱の底にラップでぴっちり包装された状態で届いたりするのですが、ついつい中身を取り出した後の段ボール箱を片付けるのを億劫がってしまいます。

もし私に猫の一匹でもあれば、その子が中で丸くなってくれるのを今か今かと待ちわびることでしょうが、生憎と我が城、家賃4万のワンルームはペットは禁止ですし、もし飼ったとしても学生の身には余る大変さでしょうからこれは夢物語です。

嗚呼、いつか共に暮らしたい猫ちゃん...

とまあ、脱線はさておき、ふと私は思ったのです。

段ボールの中って居心地良さそうだな、と。

思い立ったが吉日、いざ尋常に参らん!と、届いたばかり、放置したてほやほやの段ボールに飛び込んでみます。

Ohh... なんと素敵な紙の匂い。昔から図書館で見つけた新書がまだ自分以外に開かれていないのを確認しては悦にいって紙の匂いを嗅いでいたものですが、段ボールというものもまた捨てがたい。

おまけにこのなんとも言えないフィット感。両手で両足をギュッと体育座りをして、そこから見渡すいつもの部屋はなんだか空間に距離があるように思えます。狭いって最高!

しばらくそうしていた私ですが、段ボールの中というもの、そのまま座っているには些か地面の硬さをダイレクトに味わせてくれるものでもあります。

それに、なんだか段ボールの中よりもベットのほうが柔らかくてあったかそうで、素敵な感じがします。

...

 

それから二週間ほど経ちましたが、その段ボールはまだたたまれずに部屋の片隅に鎮座しています。

たまに入る分にはとても素敵なものですからねえ、段ボール。